AKSから見る芸能事務所の機能(入門編)

最近芸能界に起こる騒動が注目を集めています。芸能事務所に対する怒りが爆発しています。一方、果たして芸能事務所というのはどういう企業なのか、その業務、ビジネスモデル、そして芸能界における機能について広く理解されているのでしょうか。

この記事では、芸能事務所や芸能界という大きなテーマから基本となる知識をまとめ、入門編としてAKB48グループの運営会社である株式会社AKSの特徴を紹介しながら日本の芸能事務所の機能について考察してみたいと思います。以下のツイートがAKB48グループの握手会にて「支配人部屋」が開催されるという案内となります。ファンの方から直接意見を聞くのがAKS運営の特徴と言えるでしょう。

芸能事務所の機能

キャスティングだけではない

世界各国に芸能にまつわる産業が存在します。国によって芸能事情が異なりますが、日本の芸能界は独特な構造によって成り立っています。この記事では、なるべく簡潔に芸能事務所の機能を考察していきます。

芸能プロダクション(芸能事務所)の市場規模は推定として1兆2,122億円に上ります(2005年)。日本の芸能事務所は、多岐にわたって事業を展開しています。一般的に知られている事業は、テレビ出演や映画出演のキャスティングでしょう。テレビ局の企画や映画会社からオファーを受け、適切なキャスト(タレント)を紹介するというサービスを芸能事務所が提供しています。実は、芸能事務所は他にもタレントに関わる業務を行っています。

芸能事務所の主な業務

芸能事務所の主な業務は以下の図の通りです。

  • タレント育成
  • プロデュース
  • マネージメント
  • ファングラブ運営
図1.芸能事務所の業務

キャスティングについては、基本的にマネージメント業務として考えられます。

タレント育成

タレントが芸能活動するにあたり、演技や歌唱などのスキルを身につける必要があります。芸能事務所は講師を招いて講義やレッスンを開催しタレントに参加させます。芸能人としてスキル以外、一般常識や業界の知識、SNSの扱い方についてもタレント育成の項目として考えられますが、実際そういった育成項目がどれくらい行われているかは事務所によって大きく異なるでしょう。

一般的に、タレント育成は有料サービスとして考えられ、所属タレントが事務所から育成サービスを受ける代わりにレッスン料を支払います。

AKSの事業であるAKB48、HKT48、NGT48は、基本劇場公演をベースに活動して売上を上げています。劇場公演を行うために、所属メンバーを育成する必要があります。メンバーがよくいうレッスンというのは、劇場公演に出演するための教育を受けることになります。具体的な内容は、公演曲のダンスの振りや歌詞を覚えることです。舞台へ出演の場合、演技も育成の項目に入ります。

前述のようにタレント育成が基本有料となりますが、AKSが所属するメンバーからレッスン料を徴収する情報が公開されていません。メンバーの発言からも有料レッスンについて言及していません。これを踏まえて、研究生は報酬が支払われなくてもおかしくないでしょうし、公演に出演して報酬として出演料が支払われるのがよい待遇かもしれません。

劇場公演とタレント育成について、AKSのビジネスモデルを考察する記事で詳しく言及する予定です。

プロデュース

所属タレントの価値を最大限に上げるために、芸能事務所はタレントをプロデュースします。タレントは歌手志望や俳優志望で芸能事務所に入ったからといって、志望通りに芸能活動ができるとは限りません。基本芸能事務所はタレントの路線を決めます。タレントと相談する場合はあるのにしても、最終決定権は芸能事務所の方にあります。タレント育成のメニューや参考オーディションの選定などがプロデュースに基づいて決まります。

AKB48グループが大きく成長を果たした理由として、秋元康さんによるプロデュースの貢献が大きな要素として考えられます。個々のメンバーに対するプロデュースはもちろん、チーム分け、チーム構成、選抜メンバーの選定などはすべてプロデュースの内容となります。

どのメンバーをどの方向で育成するか、どのポジションに置くのか(センターなのか、二列名なのかなど)によってグループの人気が大きく左右されます。オーディションから始まり、研究生の選定、正規メンバーの選定、選抜メンバーの選定は基本それぞれ関係しあって、ブレが生じないように決まって基準によって行われることが望ましいでしょう。

AKSはプロデュース業務をY&N Brothersに外注し、業務委託しています。また、AKB48グループの総合プロデューサーとして秋元康さん担当しています。一方、シングル曲の歌唱メンバーを決める業務をAKB48選抜総選挙とAKB48グループじゃんけん大会としてイベントし、オーディション業務をAKB48グループドラフト会議としてイベントするなどプロデュース業務が特徴的となっています。

マネジメント

芸能事務所の最も基本となる業務がタレントのマネージメントです。一般的に知られているタレントのマネージメント業務が、タレントのスケジュール管理とタレントと現場への同行が挙げられます。あまり知られていない業務を合わせて紹介しましょう。

  • スケジュール管理
  • 現場同行
  • 売り込み(番組出演交渉やオーディションの参加)
  • 出演料の請求と報酬の計算
  • イメージ管理(SNSでの発言など)

以上の”日本”の芸能事務所のマネジメント業務から考えれる、タレントと専属マネジメント契約を交わすのが普通と考えられます。専属という前提がないと、スケジュール管理と売り込み業務に支障が出る恐れがあります。

また、一般的な芸能事務所の場合、タレントへの居住の提供や家と現場の間の送迎がマネージメント業務の対象外となります。子役事務所の場合、保護者から子役タレントを預かることになりますので、現場の送迎が必要になります。安全を確保するため、親による送迎を認めない子役事務所も存在します。

アイドル文化について、成年未成年に関係なく現場の送迎が求められます。今回のNGT48山口真帆さん暴行被害騒動について、現場から家までの送迎がポイントになるかと思います。以下指原莉乃さんのツイートでも言及されていますが、未成年の子供の扱い方は特に注意を払う必要があります。成人したアイドルに対してどこまでケアする(送迎が玄関から現場までか、寄り道を認めるか)か、おそらく明文化されていませんし、プライベートとの境界線がはっきりしません。

アイドルのマネジメントについて、機会があれば別の記事で考察してみたいと思います。改めて説明しておきます。ここで指原莉乃さんのツイートを引用した理由は、芸能事務所のマネジメントについて、成人かどうか、アイドルかどうか、女性かどうかによって、どの程度のマネージメントがタレントと保護者に求められるかが変わってくる、ということを疑問として提起したいからです。

ファンクラブ運営

アイドルを含めタレントはファンによって支えている部分があるため、芸能事務所はファンクラブを設置しタレントとファンとの公式の交流の場を提供します。一般的にファンクラブは定期的な情報誌の発行、コンサートなどのチケット優先予約、会員限定イベントへの招待などのサービスを提供します。

AKSの場合、ファンクラブを細分化し、チケットセンターやモバイルメール、映像倉庫などを設置して運営しています。また、ファンからファンレターやプレゼントを受け付け、チェックの上メンバーへ渡してくれます。握手会会場では、支配人部屋を設置し、ファンからの意見を受け付け、運営方針の参考になります。

芸能事務所と芸能プロダクション

芸能事務所と芸能プロダクションという言葉をよく耳にしますが、厳密にいうとはっきりした定義上の違いはないと思います。

では、プロダクションという言葉はどういうことを指すかと言いますと、コンテンツ制作のことと捉えればいいかと思います。芸能事務所は基本図1の業務を行っています。 芸能事務所が基本の業務を行いながら、さらに自社所属のタレントを使ってコンテンツを制作する場合、芸能プロダクションとなります。ただし、業界においておそらく共通認識として芸能事務所と芸能プロダクションが区別されないと思われます。

補足として、ここで言うコンテンツ制作というのは、AKSの場合、AKB48専用劇場の劇場公演そのもの(ライブ)とその映像コンテンツ(AKB48 LIVE!! ON DEMANDにて視聴可能のコンテンツ)になります。また、AKS主催の舞台、コンサート、公式YouTubeチャンネルの動画、そして冒頭にて紹介したAKB48新聞もコンテンツ制作の成果物となります。

最後に

日本の芸能界は独特な構造によって成り立っています。この記事では、芸能事務所の基本中の基本について考察しました。日本の芸能関連のビジネスモデルやマーケティングについて考えるために、芸能活動の構造への理解が不可欠となります。以降の記事では、芸能事務所のビジネスモデルについても考察していきたいと思います。

YouTube動画バージョン

動画バージョンはYouTubeに公開しています


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参考資料

MDB市場情報レポート
https://www.jmar-bi.com/report/00990I.html

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